ふた七日(五月二十九日)だった。お坊様に出すお茶の出し方やお布施の渡し方など、朝のラジオ体操友達に聞いて、抜かりなくできたと思う。木魚は四十九日の忌明けまで貸して頂けることになった。霊供膳は一朗が作った四角いお盆を使った。供えたものはご飯、味噌汁、干アジの小さいの、プチトマト、団子など。ヘンテコな霊供膳かもしれないが、これが一朗の好きなものだから。

 浄土宗は般若心経を唱えないのだ。教本の冊子を渡されてお経を目で追いかけていたが、全く分からなかった。四十九日までには少し慣れるかもしれないね。

 

 仏壇はできるだけ買わないで、一朗がモロッコで買った物を使いたく、お坊様に見せた。私としてはイスラムの紋様っぽい壁掛けと思い込んでいたが、「あ〜これはインド模様ですね。良いでしょう。」と言われてホッとした。日本人にとって、インドの寺院模様もイスラムのモスク模様も区別がつきにくい。モロッコで買ったからイスラム系だと思っているだけ。お坊様の言うことが正しいかもしれない。よしよし。一件落着。少し改造して中を広くしないと三基のお位牌は納まらない。バイソン(梅村くん)に頼んでみよう。彼は仏壇屋で彫刻を彫っていたから、頼めるかもしれない。

 

 先日まで大雨だったのにその日は快晴で、干物もよく乾いた。真っ青な空に新緑が映えて気持ちがいい。何につけても一朗がそうしてくれたような気になる。まだまだその辺にうろうろしているのかもしれないね。家を出る時は「行ってくるね」帰った時は「ただいま」と声をかけている。

写真の一朗はニコリ笑顔で、いつも答えてくれる。しばらくはこのままでいこうと思う。