教育虐待からの殺人事件。

前回は男子生徒の事件しかなかったのですが、

そういえば、女性の事件もありました。

 

2018年に起きたこの事件。

数年前のことなので、

覚えている方も多いと思います。

 

娘の気持ちを無視して、

娘を医学部に入れようとした母親の

教育虐待の成れの果て。

 

「滋賀医科大学生母親殺害事件。」

 

 

母親は、

娘が幼少期から

娘が医者になることを希望し、

熱心に教育してきました。

最初は娘も前向きで、小学生の頃は優秀でした。

しかし、中学生の頃には成績も落ち、

高校生の頃には

本人は医者になりたいとは思わなくなっていました。

 

それでも母親は執拗に医学部受験をさせ続け9浪。

助産婦になることを条件に、

滋賀医科大学の看護学科に入学しますが、

助産婦の試験に落ちてしまいます。

母親は激昂し、

そこからさらに虐待は加速。

ついに娘は母親を殺してしまうのです。

 

この事件を知ったとき、

私は毒親育ちと思いながら生きてきたけれど、

上には上がいるのだなと驚きました。

彼女の苦しみはどれほどだっただろうかと、

自分のことのように苦しくなりました。

 

そして思い出す人がいます。

大学時代の同級生(男)です。

 

彼の実家は大きな病院で、

医者になることは彼の責務でした。

中学受験をし、

偏差値70超えの、最難関中高一貫校に合格。

しかしそこで伸び悩みました。

高校時代は、理数に苦しみ、

医学部に合格できるレベルではありませんでしたが、

親は許しません。

医学部を受け続けて4浪しました。

 

4浪しても、

医学部はすべてE判定のままでした。

そこで親は、弁護士になることを条件に、

法学部を受けることを認めました。

そこで合格したのが、私と同じ大学でした。

医学部狙いなら、

もっと上の大学に受かる学力があるはずでしたので、

こんな中途半端な大学に彼のような人がいて、

ビックリしました。

 

その大学の法学部は、学年250人程度。

現役浪人含めても

年に10~20人程度しか司法試験に合格しません。

望み薄でしたが、

大学に通う傍ら、

司法試験向けの専門学校にも通い、

卒業と同時に司法試験を受けましたが、

箸にも棒にも掛からず、

それでも受け続けてうん十年。

 

塾の講師をしながら一人暮らしをしています。

もはや実家の敷居をまたぐこともできません。

恋人がいた時代もありましたが、

塾のアルバイトだけでは結婚などできません。

別れてしまいました。

 

もう自分の人生に夢も希望もない状態。

どうして親は我が子をそんなふうに追い込んでしまうのだろうか。

事件にはならなくても、

親のせいで人生を棒に振った人、

身近にたくさんいます。

 

どんな仕事でもいいから、

就職して、

楽しく前向きに、

できれば結婚して家庭を持って、

子育てして、

そんな普通の人生を歩ませてあげるのが

一番の幸せだったのにと思う。