今日はエンターテイメントにおける調和と裏切り

というテーマでお話したいと思います。

 

例えば音楽を聴いているときそのメロディが

「次はこう来るだろうな」っていうところに来てくれると安心して

「こういってほしいな」っていうところに来るとウキウキします。

ただそれが続くだけだとベタになっちゃうので

ときには「おっ、そうくるのか!」という展開も必要だったりします。

 

つまり調和と裏切りです。

 

これは小説でも映画でもお笑いでも

すべてのエンターテイメントに共通することだと思うし

ともすれば「人の魅力」に繋がるところもあるのかなぁと思います。

 

多分小学二年生か三年生のときだったと思うんですけど

僕は小学校でそんなエンターテイメントの場に出会ったことがあります。

 

とある日の昼休み、外は雨

みんな教室の中でそれぞれの遊びを楽しんでいました。

そんな中、僕も含めおバカな男子グループは

野球拳を始めました。

 

野球拳、ご存知でしょうか?

ウィキペディアによりますと

「野球拳とは、歌い踊りながらじゃんけんをする宴会芸・郷土芸能である。

 三味線と太鼓を伴奏に合わせて歌い踊り、じゃんけんで勝敗を決する遊戯であるが、

 テレビのバラエティ番組などの影響で「じゃんけんで負けた相手の服を脱がせるゲーム」

 という本来の趣旨とは異なった認識が一部に広まっている」

とあります。

 

一部と書かれていますが、多分日本人の大多数がこの

「異なった」認識をしているのではないでしょうか?

 

僕ら小学生も例に漏れず、この「異なった」認識で野球拳を始めました。

あれ何でだか覚えてないんですけど机と椅子が中央からどかされていて

まるでファイトクラブのようなステージで開始されたんですね。

掃除の準備で机を下げていたからなのか、どうだったのか

ちょっとそこまでは覚えていないんですけど。

 

さて、

男子数名輪になって野球拳がスタートしました。

外は雨が降り続きます。

もちろん男子的には参加していない男子、

そしてやはり女子の目線を気にしていますね。

面白いことをやることがモテることにつながるという

浅はかな野性の本能。

だから内に向いたゲームではなくて、

ある意味外に向けたエンターテイメントなんですね。

 

「さぁいしょはグー!じゃあんけんぽん!」

「あああああああ!」

「さぁいしょはグー!じゃあんけんぽん!」

「まじかあああああ!」

ってな具合に、参加男子どんどん薄着になっていくわけです。

最初は帽子、うちの小学校は完全に制服だったので

上着から始まって、シャツ、その下のTシャツや肌着やランニングシャツ。

 

まぁだいたい上を脱ぐことには慣れているので抵抗ないんですけど、

下に入ってくるともう人それぞれです。

 

ズボンを脱ぐ段階でギブアップする子もいたし、

「靴下は一個ずつでいいんだよなぁ」という提案も行われていたし。

 

そして最終決戦

そこに立っていたのは某ラーメン店の御曹司Hくん

そしてその相手が僕だったのか、他の誰だったのか思い出せませんが

そんなに恥ずかしい格好じゃなかったと思うので

多分ズボンはまだ履いていたのだと思います。

 

対してHくんは

もはやブリーフと靴下のみでした。

 

精神状態ギリギリの緊迫した中

外は降りしきる雨

決勝戦の開始です!

 

「さああああいしょはグーッ、じゃんけんぽん!」

「おおおおおおお」

「あああいこでしょおおっ」

「おおおおおおおっ」

 

そしてっ

 

「じゃああんけん、ぽんっ、よっしゃあああああ!」

Hくんは握りこぶし、そして相手はパー

Hくんの脱衣が決定です。

 

昼休み時間も残りわずかとなった

まさにファイナルに相応しいムード。

Hくんはブリーフと両足の靴下があるので

ここで片方靴下を脱いだとしても

まだ、もう片方残ります。

 

そのとき

「きゃああああああ!」という女子の悲鳴

 

パッとHくんに目を移すと

なんと、靴下ではなく、ブリーフを脱ぎ始めました。

 

出ました!エンターテイメントにおける裏切り!

まさかの変拍子、転調、映画における最後の10分で何かが起こる的な!

 

そのままスルスルっとブリーフを脱いだHくん

そしてすごかったのが、その顔には、してやった感などなく

あくまで正当な判断としてブリーフを脱ぎ

そしてもはや両の拳を握り次のじゃんけん体制へ!

 

「さああいしょはあ」

って白い靴下、二つだけになったHくんが

ゆるぎない表情で、あくまで勝ちに行く姿勢を見せたとき

相手の心は折れ、膝をついて、

っていうかもう寝転がって笑ってギブアップ

そしてそこで昼休み終わりのチャイム。

試合終了のゴングです。

 

見事、ラーメン屋の御曹司

Hくんの優勝が決定しました!

おめでとうHくん!

限りなく純粋なエンターテイメントに

リスペクト!

 

もちろん今から約40年ほど前のお話なので

リアルとフィクションの入り混じったお話でしたが、

Hくんが両の足に靴下を残したフルチン姿は

まじりっけない現実であり

おそらく僕にとって

墓場まで持っていく思い出だと思います。

 

ありがとうHくん

楽しく暮らしているといいなぁ。

 

それではみなさん

今日も引き続き

ハバナイスデイ♪