スーツ姿の翔くんは、やっぱりカッコいい。
俺の大好きなイケメン。
あんなに小さかったのに、いつの間にか大人の男になっちゃって。
身長だって俺のが高かったのにね。
北海道で助けてくれたのも、病院の踊り場で助けてくれたのも、きっと翔くんなんだ。
でも、俺は、認めたくなかったんだ。
あの春に俺の事を置いて行ってしまった翔くんが、また、俺の前に現れるなんて有り得ない事として俺のツルツルで美肌な脳みそがようやく別人だと処理した。
それでいい。
それがいい。
きっと、それが翔くんの望んだ事なんだ。
俺たちのお子様な恋愛は、俺にとってはきっと最初で最期の最愛なものだけど、翔くんにとってはきっと邪魔な物でしかなかったんだよね。
仕事の出来る男に見える。
きっと、お堅い仕事してるんだろ?
家柄も学歴も申し分ない翔くんには、俺なんて要らなかったんだね。
さぁ、帰ろう。
みんなの居る家に。
今日は相葉ちゃんも早く帰れるって言ってたから、サラダ位は手伝ってもらおう。
和にはお風呂洗ってもらって、潤君には…洗い…もの…し…て…もらって、そうだ、デザートも買って帰らなきゃ………
前だけを見て歩け
立ち止まっちゃダメだ
早く
早く…
通りすぎろ…
横断歩道に一歩も踏み出さないで立ち止まっているイケメンの横を普通の顔して
通り過ぎてしまえばいい
苦しくなってきた呼吸をやり過ごし
やっとの思いで、バス停のベンチに荷物を置いた。
途端に溢れ出る涙。
なんの涙なのか自分にも分からなかった。
ただ、ただ、早く家に帰りたかった。