「日帰りで沖縄?」
驚くのも無理は無い。
フェアリとサラとフィービーを空に見送るまでは
飛行機に乗って旅行するなんて考えもしなかったからだ。
「朝7時に飛んで夕方6時の飛行機で帰ってこれば大丈夫。」
「ホントに?」
「大丈夫、みんな淋しい想いはしないよ」
彼とそんな言葉のやり取りがあった数日後の早朝、
私は彼と誰もいない関空のロビーに立っていた。
数年前オランダのスキポール空港でひとり迎えた朝を思い出す。
日本へのチケットが手に入らず空港内で夜を明かしたのだ。
それでなくても帰国の機会が与えられず不安でたまらないのに
目の前で繰り広げられる多くの出逢いと別れと旅立ちのドラマに胸がつまり
溢れる涙を止められない若い私がそこにいた。
今日はあの日のような私はいない。
隣りには彼がいるし、沖縄への期待で胸がいっぱいだ。
(お留守番している子供達のことは勿論気になるが…)
