本文は去年8月14日から9月22日にかけて掲載した、「「後ろの正面」はアトランティスだった!」(1~15)を加筆、訂正したものです。
「最初の時」、すなわち「ゼプ・テピ」とはどのような様相だったのだろうか。
それは、それまでの科学文明が完全に崩壊、壊滅した後の、不気味な静けさが地上を覆う寂しい時代だったことだろう。
人間が、その総力を結集して築き上げた、アトランティスとムーという二大文明国家が、相次いで海中に没した大変動の記憶と、その直後に周辺の大陸を襲った高山のような大津波の惨禍が生んだ伝説だけが生き残った、呵責ない時代の過ぎ去った静寂だけが、地表を覆っていた。
一つの時代がその清算の時を迎え、人々が地殻の底に生き埋めになり、地表に残ったものは天からの火の玉で焼かれ、大津波にさらわれ、大陸と運命を共にした、あの阿鼻叫喚の大異変の声も過ぎ去った、静けさだけが支配していた時代である。
当時の文明は、そこに生きた人々の亡骸(なきがら)と共に海中深く、地の底に沈んで果てたのである。
難を逃れたほんの一握りの生き残りの人たちは、エジプトのケオム(ケム)の奥地に住み着いたが、地球規模の地殻変動の災禍はそれらの人々も容赦しなかった。
動物も植物も、ありとあらゆる被造物たちがその生命の痕跡すら残さず絶滅し果てたことだろう。
人の努力や知恵では、到底生き延びることはできなかった、容赦のない厳しく恐ろしい最期の時だった。
不気味な地鳴りと噴火が、地表のあらゆる場所に生じ、どこに避難しても心安らげる場所は皆無だった。
生き延びると思えた人々も、遂には発狂し夜昼問わず逃げまどい、大自然の脅威の前には為すすべのないことを思い知らされて、命を失っていった。
神の裁きと噂したものが、これほど徹底して万物を滅ぼし尽くすとは、誰もが思ってはいなかった。
自分は情け深く寛容で、他人に施すことも赦すことも愛することも受容することも、すべてやってきた。
だがなぜ、これほどの苦しみと苦痛と辛酸をなめねばならないのか、神とはこれほど容赦のない裁きを万人に下して良しとする、血も涙もない御方だったのか!
そのように天を呪い、地を恨みながら死んでいった人々も、多数くいたはずである。
しかし絶滅は情け容赦なく進められ、遂には生存者皆無の地球にさえ見えたことだろう。
人々の押し殺した声も絶え、その生命の気配が消えてのち、耳に痛いほどの静寂が地表を覆った。
それが「後ろの正面」の始まりの時だった。
聖書の創世記の最初にある、…「地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた」…という記述は、この「最初の時」(ゼプ・テピ)を表現していたのかもしれない。
人々の発する喧騒が絶えない世の中、一度すべての音声刺激を遮断して、全き静寂の中に自己に沈潜したらどうだろうか。
そこから心の奥に響いてくるものを感じ取ってみてはどうか、と思う。
次回に続く
夢幻の美にきらめく黄金光の雪を降らせ、巨樹は温和さをたたえた言葉を与えた。
「現世ばかりが世ではない。
今は憎んで呪うとも、過去の世では睦まじかった経験をしているはずなのだ。
どれほど立場が違い、いかなる苦悩を抱えた関係であろうと、来世によりよき関係を結べないわけではない」。
マホラは傷つけられた愛の苦痛に耐え、再び声を振り絞って巨樹に問わずにいられない。
「でも、嫌いな相手や憎む相手には、二度と会いたくない気持ちが起きるはずです。
来世があったとしたら、絶対に会いたくないとさえ思うでしょう」。
神の木は、さりげなく白金の光の粒を空中に吐き出して応じた。
「そのような心は、永遠不滅の魂の目から見れば、現世の繰り言にすぎない。
こう考えてみればよい。
過去にも同じ相手に、同じ言葉を投げ掛けていたかも知れない。
来世もまた同じことをするのだろうか。
そうだとしたら、何も変わらず誰も成長していないということになってしまう」。
ルチェルリが、興味深げな眼差しで杉の巨木を眺めた。
そこはかとない敬意が、口調にこもっている。
「もしかすると、人の魂の持つ宿業のことを言っているのではありませんか?」
巨樹は鷹揚な風情でかすかに巨体を揺らしたようだ。
「アトランティス」第1部下巻より抜粋 音声ファイル239_mp3。
「おい、人前であんまりみっともない欠伸をするなよ」。
トカは楕円形になった猫目で未来人を見つめ、わざと平然たる声で応じた。
「余計なお世話だ。
俺の来世だからといって、大きな顔をしてもらいたくないな」。
安芸津は頬を人差し指でかきながら、じりじりした目つきで地面に寝ころがるトカを見下ろした。
「俺の前世が、アトランティスの大猫とはね。
信じられんよ、まったく」。
トカは、胡散臭げに安芸津を横目で睨む。
猫人はゆっくりと身を起こすと、頭の先から尾の先まで震わせ、四肢を伸ばしてわざとらしく伸びをして見せた。
「猫じゃないよ。
訂正しろ。
猫人だよ」。
安芸津は溜め息混じりに、悄然とうなだれてぼやいた。
「なんてことだ。
俺は昔、化け物みたいな大猫だったのか…」。
トカが安芸津の傍らに接近し、長い尾を振って意地悪く告げた。
「訂正しろよ。
俺の来世」。
「アトランティス」第2部下巻より抜粋 音声ファイル405_mp3。
「彼の死のあと、あなたは彼の遺髪を抱いて、沈みつつあるこの場所にたどりついた。
その時には、もうこの辺にあった陸地はほとんど沈んでいた…」。
十九のレウキペの想いに支配されたエリエノウは、白い頬を濡らす熱い涙にかきくれている。
《二人で生きたかった。
あの人と、もっと多くの時を過ごしたかった》。
魂も裂ける深刻な未練と、身悶える後悔に苦しめられ、少女は血のにじむような祈りを天に向けた。
《もし身分が同じだったなら、もっとおそばにいられた。
来世があるなら…そうなれるものなら》。
その強烈な想念と願望は、来世への約束を求めて身を裂くあまりにも深い悲嘆と慟哭に満ちていた。
陸地の海没の混乱のさなか、病身でどこをどうとおってきたのかわからない。
少女はいつしか、海水がひた寄せる思い出の場所までやって来ていた。
既に潮は足元まで押し寄せ、船から飛び下りた彼女は無人の別荘に向かい、愛しい者の肖像の元で最後を迎えたいと願った。
満ち潮のひそやかさをもって迫りくる海水は、彼女が小堂の中に立ったときに、孤島と化した高台の麓に押し寄せていた。
もはや帰りつくべき場所もなく、やつれたレウキペは、愛した男の浮き彫りの顔を抱くようにしながら、隠し持っていた毒を仰いで息絶えた。
「アトランティス」第3部上巻より抜粋 音声ファイル508_mp3。
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こんにちは ご来訪を心より感謝いたします
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大切な「音のお知らせ」が届きました
消印は紀元前1万年 つまり今から1万2千年前
ものさしを替えればつい昨日のお話です
時空を超えて送られてきた 玉手箱の中を覗いてみませんか
もしかすると太古の記憶が 懐かしく蘇るかもしれませんよ
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再掲籠目唄(34)
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