「後ろの正面」はアトランティスだった!(13) | アトランティスからの伝言

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 セータカが困り果てて唇を歪めた。
 慨嘆に耐えぬと言いたげであった。
 「肉体を持つと、こうも頑固になるものか。
 貴公を狙う地獄の者たちも、さぞやてこずっているに違いない。
 天界にとっても地獄にとっても、貴公はさすがに一筋縄ではゆかぬ。
 しかし、天界の授けた運命には、いつまでも抗することはできぬのだ。
 貴公もそのことを奥底でよく知っているはずだ」。
 黒人青年は肩を小さくすくめて見せた。
 「なんのことか、ちっともわからんね」。
 セータカは嘆息ぎみに応じた。
 「われら天界の者たちが、貴公の父母や日毎の夢を通じて、幼き頃よりさまざまな予備知識を与えておいたはずであるが。
 貴公には、この現世で果たすべき役割があるのだ。
 貴公の頑なさとひねくれた心には、親しい天界の指導担当者も嘆いておる。
 全くやりにくいが、いずれ貴公とて天界へ帰還を果たせば、本当のことを思い出す」。
 パラエトンは憤りさえ覚え、激しい抵抗を込めて叫んだ。
 「勝手なことを言うな。
 何と言われようと、これが性分だ。
 今までこの性格だからこそ、生きて来れたんだ。
 今さら治せるか」。

 

「アトランティス」第2部下巻より抜粋 音声ファイル403_mp3

 

 

 

 

 

 《いったい、俺はどうして、こんな生きかたをしてきたんだ?》
振り返りみると、限られた狭い範囲の価値観を後生大事に守り続け、結局はそれに裏切られ続けてきたことに茫然とするのだった。
 黒人青年の意識を現世に於いて規制してきた、もろもろの頑丈な障壁と目隠しが、明るい霊光の励起の中で薄められ取り去られつつあった。
 彼は自分の心が、今までいかに多くの観念や既成概念に縛られ、無数の思い込みや恐怖や不安に衝き動かされてきたかをはっきりと知った。
 親の言いつけや周囲の教育の影響を、子供の頃から幾重にも着込んでいたのに、そんな自分の実態に全く気づくこともなく、脱ぎ去ることもできなかったのである。
 潜在意識の観点を包摂したパラエトンは、そんな自分を責めることはできないと感じていた。
 人ならば誰もが、既存の価値観や掟に合わせることによって自分の身を守り、現世に於ける立場を保持しなければならないからである。
 普段の世慣れた青年実業家は、校滑に装われた仮面に過ぎず、その奥に内蔵していた潜在意識は、遥かに巨大でおびただしい体験を積んだ長老そのものであった。
 しかも、智慧ぶかい意識は、人世に起こるあらゆる現象の因果と実相を実感していた。
 誰もが泥沼の中であがき、盲目さと迷妄を避けえない人生について、極めて数多くの体験を有し、それによってのみ知りえることの貴重さを深く理解していた。

 

「アトランティス」第2部下巻より抜粋 音声ファイル415_mp3

 

 

 

 

 

 浮遊霊や自縛霊を救済することについては、霊能そのものは全く用をなさないことが多い。
 仮に幽霊を見る能力があったとしても、その霊を救済する知恵と手段と情愛を持たなければ何の意味もないのである。
 イフィシスは、老婆オカオンタスと同じように、あわてて頭を下げ「鎮魂慰霊の揚詞」をとなえ始める。
 現世への怨みと憎しみに縛りつけられた霊たちへ、深刻な悲劇に彩られた生涯への悲哀を癒す旨の言葉を放つ。
 長い年月を、孤独と悲愁のうちに凍りつき、漂泊してきた者の孤絶と恐慌を、まずなだめ慰めなければならないのである。
 迷える霊人を癒すには、一人一人の女たちと霊覚を通じて会話し、いちいち納得させて道理を説き聞かせるのが最善なのだが、数が多過ぎる場合はそうもいかない。
 神殿の教えでは、そのような場合は、心清き者や修行を積んだ者が、無心に鎮魂の言葉と慰霊の波動を与えればよいとされている。
 現世の狭間を漂流する霊人を供養する経典を読むときも、読む者の意識と修行のありようによって、その救済力が天と地ほども開くことになる。
 心を込めて無心にやればやるほど、その思いの深さがまわりの迷った霊たちを目覚めさせ、自分で自分を救う力を与えることになる。
 イフィシスは、そう神官長から学んだことがある。

 

「アトランティス」第3部上巻より抜粋 音声ファイル515_mp3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
つくづく、人生は最後の最後まで行きつかないと、その全貌を見渡せないものだと感じる。
 
私にとって、その最後とやらはまだまだ先のこととわかっている。
 
為すべきことがまだまだ残っていると、いつも感じるからだ。
 
「アトランティス」も「かごめ唄」も、人々に伝わっているとはとても言いがたい。
 
自分の非力と知恵の無さから、世の中に訴えられていないというのが現実だ。
 
思えば「アトランティス」の物語も、「かごめ唄」というわらべ歌も、どちらも自然消滅の運命にある絶滅危惧種に相当する。
 
自分がそのことに気付いたのならば、まず誰よりも先に救い上げねばならない義務があると信じるからだ。
 
「アトランティス」という全8冊の超長編小説が世に出たのは、1990年の夏だったと記憶している。
 
出版当時、大変な話題になったが、これを理解も感動もできない勢力の揶揄や暴言もひどいものだった。
 
ウィンドウズ95が一般に広がって、ネットで自由な書き込みができるようになると、その遠慮会釈のない罵詈讒謗(ばりざんぼう)が支持者の声を封殺する形になり、私などそれら無責任で横暴極まる書き込みの多さに嫌悪と吐き気を催したほどだ。
 
この本も絶版となって久しく、知っている人も、もはや忘却の途次にあるのは間違いない。
 
そのようにして忘れられ、自然消滅して行くものの中に、決して人々の記憶と歴史から消え去ってはならない大切な遺産が存在することを心に留める必要がある。
 
自然界で絶滅する動植物も同じだが、なぜ彼らは静かに無言で姿を消して行くのだろう。
 
誰からも愛されず、心を向けられない存在達が、自らの存在理由を否定されて世の中から消え去ってゆくのだ。
 
「アトランティス」も「かごめ唄」も、現代に生きる人々にに向かって、欠くことのできない重要なメッセージを伝えようとしている。
 
そしてどちらも、聴き手や読み手が全く自らの知恵を駆使して考えようとせず、何か与えられることや受け取れることだけを期待している限り、そのメッセージを語りかけてはくれない。
 
テレビや報道が垂れ流すフェイクニュースや、有名人や芸人の興味本位の洗脳情報に浸りきっている限り、自分の頭で善悪を峻別する習慣も能力もすっかりかすみ取られてしまうのだ。
 
テレビ、新聞、スポーツ、娯楽雑誌、映画、ギャンブル、ネット情報の大部には、恐るべき暗示力と洗脳効果が込められている事実を知っておく必要がある。
 
敗戦後の日本社会から、古き良き伝統と文化が捨て去られて久しい。
 
家族のだんらんと武士道が奪われた社会は、その代償として荒廃と犯罪に埋め尽くされるだろう。
 
一人一人の気づきのために、やはり極上の情報ソースが生き残って力を及ぼす必要がある。
 
そんな思いに駆動されながら、今日も「アトランティス」を書いている。
 
 
 
 
 
「アトランティス」音声ファイルのダウンロード
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*** ご 案 内 ***

こんにちは  ご来訪を心より感謝いたします

このブログの管理人 Hiroshi Onishi です

大切な「音のお知らせ」が届きました

消印は紀元前1万年 つまり今から1万2千年前

ものさしを替えればつい昨日のお話です

時空を超えて送られてきた 玉手箱の中を覗いてみませんか

もしかすると太古の記憶が 懐かしく蘇るかもしれませんよ

合成音声全229ファイル 総計85時間33分 1.74GB

試し聞き、フリーダウンロードは下記よりどうぞ…

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お楽しみいただければ幸いです 

 

 

 

再掲籠目唄(34)

http://ameblo.jp/3t14159/entry-12275825131.html#ind

 

 

 

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