俗名「いもづる算」というものもあります。前回の「弁償算」というのも俗名と書きましたがこれは記憶にある限りもともとある名前ではなく「予習シリーズ」で広められたものかと思います。いもづる算も弁償算もつるかめ算の応用、または派生問題です。
 
さていもづる算の問題です。
 
「1個40円のあめと1個70円のチョコレートを何個かずつまぜて買うと420円でした。このとき、あめは何個買いましたか。」
 
例によって方程式で見ると、あめの個数をx個、チョコレートの個数をy個とすると、
 
40×x+70×y=420
 
今度は和の関係がひとつしかありません。
未知数が2つで、方程式は1つなのでふつうは解けませんが、x、yのどちらも(0以上の)整数なので、x、yを求めることができます。このような方程式を数学では不定方程式といいます。簡単なものは中学で、やや難解なものは高校で習います。
 
さて「いもづる算」では、どう解くのでしょう。
 
基本的には上記の式を作り、その式で成り立つ数を探していきます。
この問題の場合なら、
チョコレートだけならぴったり(420÷70=)6個買えます。
あめ7個とチョコレート4個の値段は等しいので、チョコレート7個のうち4個をあめ7個と交換して、チョコレート2個、あめ7個とわかります。
 
倍数に注目して考えるのもよい方法です。
 
ある数の倍数に、その倍数をたした数はやはりある数の倍数になります。
具体的には3の倍数に3の倍数をたすとやはり3の倍数になります。
 
m、nを整数として2つの3の倍数を3×m、3×nとすると、3×m+3×n=3×(m+n)です。
 
40×x+70×y=420で、70×yと420は7でわりきれます(7の倍数です)から、40×xは7の倍数となり、40は7の倍数でないのでxは7の倍数です。この式にあてはまるxは7しかありません。
 
もう1問。
 
「1個40円のアメと1個50円のチョコを買ったら310円でした。アメは何個買いましたか。」
 
アメの個数をx、チョコの個数をyとすると、
 
40×x+50×y=310
 
です。
 
この問題では310が40でも50でもわれませんから、前の問題のようには解けません。
基本的には成り立つ数を探すのでした。
 
y=1のとき、40×x=260で成り立ちません。
y=2のとき、40×x=210で成り立ちません。
y=3のとき、40×x=160で、xは4です。
このとき、アメは4個、チョコは3個です。
 
アメ5個とチョコ4個は金額が等しく取りかえることができますが、アメは4個しかないので取りかえることはできず、答えはこのときだけです。
 
40×x+50×y=310を10でわって簡単にすることができます。
 
4×x+5×y=31
 
4×xは偶数で、31は奇数なので5×yは奇数となり、yも奇数です。
よってyには1、3、5と奇数だけ考えます。
 
簡単にしたあと1の位で考えるのもよい方法です。
 
5×yを計算すると1の位は5です。(0は上記の奇数、偶数のことからありません)
すると4×xの1の位は6です。(31-□5=△6)
31より小さい数で4×x=□6となるのは16しかありません。
よって、4×x=16からxは4です。
 
さらに1問。
 
「1本80円のえんぴつAと、1本120円のえんぴつBがあります。AとBをとりまぜてちょうど1600円分買います。このような買い方は何通りありますか。」
 
80×x+120×y=1600
 
より、この式を40でわり
 
2×x+3×y=40
 
y=0のとき、x=20が成り立ちます。
2×x=3×yならば、x:y=3:2なので、x3本とy2本は取りかえ可能です。
x=20、y=0のときから、xは3減らし、yは2増やしても成り立ちます。
 
(x,y)=(20,0)、(17,2)、(14,4)、(11,6)、(8,8)、(5,10)、(2,12)
 
混ぜて買うので(20,0)はありません。よって、残りの6通りです。
このように1つ求めて次々に残りを求めていくことから「いもづる算」というのですね。