ただの夏目、されど夏目!
今日は、日刊新聞創刊の日と漱石の日です。
【活用場面】
出世を急がぬ男達!
1911年の今日、文部省が夏目漱石に文学博士の称号を与えようとしましたが、漱石は「自分に肩書きは必要ない」として博士号を辞退する旨を書いた手紙を文部省専門学部局長に送った日に由来し「漱石の日」と呼ばれています。
漱石の入院中に文部省は、漱石の文学上の功績に対し、文学博士を授与したのに、意外にも本人が辞退したのですから、全く前例のないこととして、省内でも問題となりました。
一旦授与した学位を取消すわけにもいかず、時の専門学務局長は、4月11日に、更に学位受納を勧めますが、漱石は遂に固く辞して受けませんでした。
漱石は、個人の栄達という観点ではなく、学問の道において名利を求める気風が醸成されることを恐れ、博士号によって、「学者的貴族」が生まれて、「学権を掌握し尽すに至る」弊害が出ることが、真理の探求である筈の学問を俗化へと向かわせるという判断によるものでした。
そうして国家権力と学者が結びつくことを漱石は嫌悪していましたが、これは漱石の「主義の問題」であり、「余は博士制度を破壊しなけばならんとは迄は考へない。」と書いているように、他に押し付けるものではありませんでした。
文士という範疇には属さない、「学問の人」であった漱石に肩書きは無用だというのは自信がなければ言えることではありません。死に物狂いで勉強した大学者でありました。
「ただの夏目なにがしでありたい。」という信条は漱石の生死を貫いたものだったのです。