「今日は疲れたね」
怜さんが少し疲れた顔でぽつりと言った。
私たちは、怜さんの高級マンションのリビングにいた。
式の後は、そのまま披露宴が行われた。
たくさんのお祝いのお言葉をいただいたりと、長い一日がようやく終わった。
ずっと緊張していたせいで、随分疲れも溜まっていた。
普通は新婚旅行という流れになるのだろう。
しかし私たちは行かないことに決めていた。
怜さんの仕事の都合が合わなかったこともある。
けど、偽装結婚に偽装の新婚旅行なんて、そこまでやる必要はなくて。
これは二人同意見で、即決だった。あと、二人の新居は怜さんのマンションにそのまま住むことになっていた。
文句のつけようがない程の高級マンションだもの、これ以上の部屋を探す必要はなくて。
それに、探す時間もなかったこと。
怜さんと私の職場にも近いとあって、二人でそこに決めた。
だから家具とか選ぶ必要もなく、私の最小限の荷物だけ運べばそれで生活することは十分可能だった。
二人の新居はすぐに完成。
これからここで怜さんと二人、暮らしていくことになる。
その期限などは一切分からない。
私が借金を返せる目処は、全くの未定。
だからこの偽装結婚の終わりも予測不可能と言ったところ。
先の見えない不安は、決して拭うことのできないものとなっていた。そんな中、式の緊張が少しずつ解けていく。
今日は慣れないドレスと、緊張のせいで、まだ遅くない時間だというのに、何だか眠い。
あー疲れた・・・。
だらりと足を伸ばし、このままソファーに横たわってしまいたい。
確かに目の前の怜さんも、私と同じ様に、虚ろな目をしている。
すると急に私の頭は、全く別の緊張に支配され始める。