私の恐怖心が上昇すると同様に、車はスピードを加速し走り出した。
これからどこに連れて行かれるの?
女は煙草を吸っているだけで、それ以上何も語ろうとはしなかった。
だからますます不安が募る。
けど分かっていることは、この女は怜さんのことを知っている。
それもホストをしていた頃の怜さんを。
ホスト・・・・。
ラビリンス・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
あっ!そうだ、思い出した!
あの時私が初めてラビリンスの事務所に行った時、モニターに映っていたあの客だ。
怜さんの隣で不自然なまでに体を密着させ、高笑いをしていたあの金持ちのお嬢様。
あのお嬢様が一体なぜ私を連れ去ろうとしているの?
疑問はますます深まり、私の頭はこんがらがるばかり。
そんな私の隣で女は乱れた髪を手でかき上げていた。
そしてわざとらしく、私に煙草の煙を吹きかけてきた。
煙の息苦しさと戦いながら私は女を睨みつけた。
すると女も、口元を歪ませながら私を睨みつけ、
「あんたみたいな女が、どうして紫苑を・・・・」
そう言って、不満げに眉をひそめた。
女の言葉だけでは、今一状況が掴めない。
でも、紫苑、つまり怜さんが関係していることだけは確かなようだ。
女は異常に腹を立てている。
そうさせた原因は?
きっと私なんだろうけど・・・・。
「あんたさえいなければ、紫苑は私だけのものになる筈だったのよ」
感情を露わにしながら、女は煙草を灰皿に何度も押し付け火を消した。
私もこの女に、煙草同様消されてしまうのだろうか。