「さあ、どうぞ」
当日の午後、母と私は時間通りに実家にやって来た怜さんを出迎えた。
スーツにネクタイといった怜さんのスタイルはいつもと変わらなかったが、好青年らしい印象を与えようと思ったのか、髪形がいつもと違い落ち着いた雰囲気を漂わせていた。
「失礼します」
いつになく動きが固い怜さん。
ひょっとして緊張してる?
でもそれは私も同じだけど。
今日は朝からずっとソワソワしっぱなしで、私は何度時計を見たことだろう。
もしかしたら怜さんより私の方が緊張しているのかも?
怜さんの後ろを歩きながら、その背中を見つめていた。