「私はどれでもいいです。紫苑さんが選んでください」


「そう?だったら・・・、あっこれなんか姫に似合うんじゃないかな」


私の前に置かれた指輪をしばらく眺めた後、紫苑さんは一つの指輪を取り出した。


そして、私の手を取ると、薬指にスッと指輪をはめてしまった。


手を握られたのも、指輪をはめてもらったのも初めての私。


胸の奥がドクドクと波打ち、額には汗が滲み始めた。


「どう?」


左手をすっと高くかざし、指輪を眺める私と紫苑さん。


紫苑さんが選んだ指輪はとても素敵で、私の薬指でいっそう輝きを放っていた。


ふと隣の紫苑さんに視線を移すと、同じくうれしそうに目を細めている。


指輪をプレゼントされるのって初めてで凄くドキドキする。
 

それが婚約指輪だなんて、今でも信じられないくらい。


イミテーションだとはわかっていても、やはり嬉しい気持ちに変わりはなくて。


さっきから私の顔はずっと緩みっぱなしだ。


「本当ですわ。とってもお似合いです」


すると横から店員が、オーバー気味に指輪を褒め称えた。


それに応えるように、私も満足な笑みを浮かべて見せた。