あの夜の記憶をたどりながら、ようやく店の前に着いた。

紫苑さんが言った通り、入口に男性が一人立っているのが見える。

男性は長身で体格ががっしりとしていて、外見はパッと見怖い感じ。

スキンヘッドで、サングラスをかけている。

私が恐る恐る近づいて行くと、向こうも私に気づいたようで軽く会釈をしてくれた。

「こんばんは。戸志呂さんですか?急にすみません」

「いえいえ。社長から話は聞いております。どうぞこちらへ」

紫苑さんを社長と呼ぶこの男性。

外見とは違い、とても丁寧な口調に、私は少し警戒心を解くことができた。

そして私は、男性が案内してくれた裏口へと歩いて行った。

中に入ると、裏口というだけあってそこは少し薄暗かった。

中の階段を上がって行くと、華やかな表の世界とは違い、細長い通路が一本あるだけ。

通路の脇には、段ボールの箱が山積みにされている。

その通路を真っ直ぐ進むと、戸志呂さんは一番手前のドアを開けた。

そこはまるで会社の事務所を思わせるような部屋だった。

デスクと椅子と、パソコン。

会社との大きな違いは、店内を映し出す大きなモニターがあることくらい。

奥には来客用のソファーが置かれている。