「もしもし」

私の耳に紫苑さんの声が届く。

本当に紫苑さんが出てくれた!!

久し振りに聞くその声に、大きく心臓が跳ねあがった。

喜びもつかの間、すぐに緊張が込み上げてくる。

「も、も、もしもし・・・」

緊張のせいか、うまく言葉にならない。

「もしもし?」

ダメだ!

紫苑さんに不審に思われて電話を切られてしまう!

それは困ると思い、私はギュッと携帯を握りしめた。

「紫苑さんですか?私、この前チカちゃんと一緒にお店に行った、アヤです」

声を上ずらせながら、どうにか名前を名乗る。

さて───


この後はなんて言おう。

すると───


「どうも。アヤ姫」


と、紫苑さんの声が返ってきた。

私のことを覚えてくれているのかどうかはわからないが、すぐに名前を呼んでくれた。

それだけでなんだかうれしい。

続いて私は本題に入ろうとした。

「あっ、あの・・・、こんばんは。私、あのー、、えっとー・・・」


途端にこれだ。

さっきよりもさらに言葉がもつれて、全然会話にならない。

これでは、何を言っているのか紫苑さんに伝わる筈がない。

「なんでしょうか?」

案の定、紫苑さんからは疑問形の返事が返ってくる。

し、しまった!! 

これじゃあ紫苑さんに呆れられてしまう。