そう言えば・・・・。
あたりに見覚えが・・・。
あの時私は、チカちゃんや佐久間さんと一緒だった。
確かこのあたりに・・・・・。
目の前には見覚えのあるビルが立ち並んでいる。
そうここは「ラビリンス」のお店のある場所。
あの日の光景が、すぐに脳裏に浮かんでくる。
まさか、あの夢のような一夜の後、こんな悲劇が待っているとは・・・・。
泣きたい気持ちをグッと堪え、私は歩き始めた。
その時不意にチカちゃんの、「紫苑って個人的にも事業を立ち上げてて。
彼は本当にやり手なんですよ」という言葉が脳裏をかすめた。
なぜ今になって?とも思ったが、その言葉がひどく私の心を捉えて離さなかった。
ナンバー1の紫苑さんかぁ・・・・。
それと同時に、あの日紫苑さんから手渡された一枚の名刺が、今もこのバックの中に入っていることを思い出した。
何かに急かされるように、バックの中を探す私。
私はすがる思いで一枚の名刺を取り出していた。確かに迷いはあった。
けれど気づけば、名刺の電話番号に電話をかけていた。
今の時間、電話が繋がるかどうかはわからない。
震える手で携帯を握りしめながら、どうかつながってほしいと、祈る思いで携帯に耳を付けた。
携帯の呼び出し音が鳴っている。
紫苑さんに繋がったところで、なんて言おうか。
そんな思いが駆け回る中、紫苑さんが出てくれるのをひたすら待った。