そんな私に母は続けた。

「その人の手がかりもつかめないし。とにかく月末が来ると手形の引き落としがあるのよ。その時お金がないと、不渡りになって会社が倒産してしまうの・・・」

そう言い終えると、母は大きくため息をついた。

なんということだろう!

経理関係には全く無知な私だったが、母がそう言うならそうなのだろう。

しかし今は納得している場合ではない。

本当の本当に緊急事態!!

突然舞い込んだ不幸。

我が家に大変なことが起こっていた。「本当に酷いわよ。お父さん可愛そうに・・・」

こういう事件とかってよくニュースで流れてたりする。

でも、まさか私の父が被害に遭うなんて。

私は一言も言葉を発っすることができなかった。

ただ心臓の音だけが大きな音をたてていた。

「私がバカだった。私がもっとしっかりしていれば・・・・」

父が肩を震わせながら、何度も何度も拳を膝に叩きつけている。

その父をなだめるように、母が背中をさする。

見るに堪えられない光景。

しかし、目を逸らすことなんてできない。

私の中で、父と母を救いたい気持ちが湧き上がっていた。