私は慌ててタクシーに飛び乗り、家へと向かった。

タクシーの中で、心臓が大きく跳ね、不安を一層駆りたてる。

とにかく早く母に会って、何があったのかを確かめたい。

気持ちばかりが急かされる。

家に着くと、一目散に玄関目掛けて走り、ドアを開けた。

心なしか、中の様子がいつもと違う気がする。

普段は会社に行っているはずの父の靴が、玄関に揃えて置いてある。

やはり変だ。


お父さんまで何でいるのよ?

今日は会社を休んだのだろうか。

次々と妙な胸騒ぎが沸き起こる。

怖くて部屋に入るのを一瞬ためらってしまう私。

でも、そうも言っていられない。

私は思い切ってリビングのドアを開けた。


「アヤ、帰って来てくれたの・・・・」

母の弱々しい声がした。

「・・・・ただいま」

静かにドアを閉め、ゆっくりと部屋を見渡す。

まだ明るい時間だというのにカーテンが閉められ、部屋の中は薄暗い。

その暗がりの中で、父が両手で頭を抱え、うずくまるような格好でソファーに座っているのが見えた。

目を凝らすと、少し肩が震えているようにも見える。

これは一体・・・・?