「私、もしかしたら・・・私の能力を使ってしまったのかも・・・」
おぼつかない口調でリマが言った。
能力?
それって治癒能力の事か?
リマはだまって自分の右手を見つめていた。
「知らなかった。今日初めて自分の能力を見たわ。これが本当の使い方だったのね。シリュウや、あの榊の時みたいに右手に力が・・・・」
そう言いながら、リマは俺に視線を移し、じっと見つめた。
その瞳は微かに揺れ、うっすらと潤んでいた。
俺は再びリマをこの胸に抱きしめると、大きく息を吐いた。
「シリュウは私の能力なんて使ってなかったのね。私の能力を一度も利用してなんかいなかった。どうしてなのシリュウ。私の能力の事知ってたはずなのに、どうして?」
」リマは涙を流しながら俺に問いかける。
俺はそんなリマを抱きしめたまま、静かに口を開いた。
「俺にとってリマは、隣にいてくれるだけでよかったんだ。ずっと俺の傍で笑っていてくれるだけでね。俺にとっては、それが癒されることだった。リマの笑顔を見ることが、俺の希望だったから」
俺はリマの頭を優しく撫でながら言った。
これは俺の本心だった。
けど、リマには初めて口にする言葉だった。
「私、自分の能力をこのボスに使ったの。この右手で・・・」
いまだ横たわったままのボスを見て、俺はだまってうなずいた。
「今がチャンスだ。今度は俺がこいつの記憶をすり替える番だな」
俺はリマの身体をそっと離すと、自身の右手を奴の額にグッと押し当てた。