右手といえば、俺の大事な商売道具のようなものだ。

当然この女にも、俺の右手がどれほどの価値を持っているかくらい認識済みだろう。

「うわあっ!!熱っーーー」

俺の叫び声を聞いた女は、予想通り慌てて俺に近づいてきた。

その顔はかなり動揺している。

この距離ならいける!!

俺はそのわずかな隙を狙い、女の額に右手をあてた。

後は簡単だった。

女の記憶を操作し、リマの居場所へ俺を案内するようボスから命令があったと、嘘の記憶をインプットさせたのだ。

俺の右手にスープがかかったことなどすっかり忘れてしまった女は、すっと立ち上がると、俺をリマの居場所へと案内し始めた。

よしっ、チャンスだ!!

女の後からドアを出ると、女の誘導で俺はエレベーターにのった。

数字もボタンもないエレベーターは、上昇しているのか下降しているのかは分からなかった。

しかし、確実にリマの元へ近づいている事だけは間違いなさそうだ。

俺はギュッと拳に力を込めた。

エレベーターのドアが静かに開いた。

もうすぐだ、もうすぐリマに会える!!

何事もなけれないいが・・・・。

先程感じた胸騒ぎは今も消えてはいなかった。

俺は、はやる気持ちを抑えながら、女の後をついて行った。