ちょうどその頃だった───


当時私は一冊の古い書物と出会っていた。


国立図書館の書庫で偶然見つけた書物。


作者の名前さえなく、中身はまるで殴り書きのような文章が綴ってあるだけだった。


まるでゴミ同然の様に本棚に置かれていただけなのに、何故か私は引き寄せられた。


その書物を手に取って中身を見た時は、私の心はひどく震えた。


そこにはまさに私の研究のテーマとなる事柄が記されていたのだ。

──人間の特殊能力──


さっそくその本を研究室に持ち帰り、私は一心不乱に読みまくった。


その内容は実に興味深いものばかりだった。


作者名は記されてはいなかったが、その当時の特殊能力者について詳細に研究結果が記されていた。


特殊能力は突然変異によって起こるわけではなく、遺伝子によって代々受け継がれていくらしい。


その能力を持つ者たちが子孫を残し、今この現代にも生きている筈だ。


しかし、その名前までは記載されてはいない。


混乱を避けるためなのだろう。


もしここに書かれている事柄が、全て事実だったとしたら。


ぜひその能力の持ち主たちに会い、私も研究させてもらいたい。


当時の私は、そんな思いを抱かずにはいられなかった。


と同時に、その可能性が見いだされたことで、私はワクワクした感情に支配されていた。