しかし、俺の願いは叶えられた。


駆け付けた警官たちに、あいつらは一目散に逃げ出した。


これで俺もなんとか戻れそうだ。


そう思った俺は、女の子の耳元にそっと囁いた。


しかし女の子は、恐怖のあまり力が抜け歩けなかった。


俺はそんな彼女の身体をひょいっと両手で持ち上げる。


これぞお姫様抱っこってやつ?


けどこの子、なんて軽いんだ?


女の子を持ち上げるのが初めてだった俺は、驚いて初めて彼女の顔を間近に見た。


瞳の澄んだ愛らしい顔。


けど、苦痛と恐怖に歪んでいる。


俺を恐れてるんだろう。


それがリマを初めて見た時の、第一印象だった。



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運転手の男が静かに車を止めた。


即座に女が動き出す。


今日の仕事の始まりだ。


書類を座席に放り投げ、俺も車から飛び出した。


ここは最近新しくできた住宅地。


俺は全身黒一色の姿で一歩一歩近づいて行く。


頭には深々とキャップを被り、手には手袋。


何処から見ても、怪しさが漂っているに違いない