一人そんなことを考えながら、次々と書類に目を通していく。
運転手の男が、ルームミラー越しに俺をチラチラ見ているのは知っている。
俺を監視しているのだろう。
そんな運転手の男も、ここにこうして居るのは、俺の記憶操作によるものだった。
助手席の女もそう。
この二人とはこうして毎回必ず一緒に仕事をしてきた。
いわばチームみたいなものだ。
しかし、面識は多々あるものの、名前などは知らない。
どこに住んでいるのかも、何歳なのかも・・・・。
お互いに名前を呼び合うこともなく、ほとんど無言で仕事をする。
声でさえあまり聞いたことがないのが現状だ。
今も俺の目の前で、男は無言のまま車のハンドルを握り、女はパソコンのキーを叩いていた。