「だけど最近はその仕事内容も変わって来たんだ。今度は一般の人々の記憶を消すことだけを指示されている」


リマの手を握りながら、俺は最近感じている不可解さをリマに話した。


「記憶を消す?」


その言葉にリマは大きく反応を見せた。


それは、最初にリマ自身が言われたことと同じだったからだろう。


「そうだよ、リマと同じ。一部の記憶だけを消すんだ」


「でも、どうしてそんなことを。シリュウだって本当はそんなことしたくない筈でしょ?」


リマの言うことは正しかった。


俺だって好きでこんな仕事を引き受けているわけではない。


でも俺には、この仕事を断れないある理由が存在していた。


「俺の両親、海外に転勤だっていうのはウソなんだ。俺には両親なんて存在しない。いや、存在しなくなったって言うのが正しいのかな」


ゆっくりと俺は、自分の過去に向き合い始めていた。


それはリマに真実を語るために、必要なことだったから。





「まだガキだった俺には、親父だけはいたんだ。俺の親父は、国家おかかえの医療チームに所属していた。そこで親父は、脳科学の研究をしていたんだ。けっこう親父は優秀な医者だったらしくてさ、人間の脳について日々探求していたんだ。でも、俺が中3の時、突然不慮の事故で突然亡くなった。医療チームが所属していた研究室から出火した火災が原因らしい・・・」


「・・・そうだったの」


リマが悲しそうに瞳を揺らす。


そんなリマを抱きしめたい衝動に駆られる。



でも・・・。


俺はそれをグッと堪えた。