「鈴木・・・?」


リマが思い出せないのは無理もない。


俺がごっそりリマの過去の記憶を塗り替えたのだから。


「最初に俺たちが出会った時、リマは悪い奴らに追われててね。それを俺が偶然助けたんだ。まあそもそも、その原因を作ったのは俺だけど。携帯電話を落とした俺の過失が原因なんだ」


リマは真剣に俺の話を聞いていた。


俺もそれに応えるように、一つ一つ丁寧に言葉を選びながら話した。


「でも、それは本当はただの偶然じゃなかったのかもしれない。必然?って言うか、運命ってやつかも・・・。俺たちは出会うべくして出会ったんだって、今ならそう断言できる」


リマは黙って頷いた。


リマも俺と同じ思いのようだ。


「でもね、悪い奴からリマを守るためには、リマ自身を消す必要があったんだ」


「私を・・・消す・・・?」


「うん。正確に言えば、この世からリマの個人情報を全て抹消するってことだけど」


「そんなことができるの?」


そう尋ねる彼女の顔が、あの日の彼女の顔と重なる。


俺は思わず腕に置かれていたリマの手をギュッと握った。


「できるんだ。俺がいる組織なら、こんな事、いとも簡単にやってしまえるんだ」


「・・・組織?」


俺はそう問いかけるリマの目を逃れようと、飲みかけのコーヒーに手を伸ばした。