俺は榊の懐に入り、榊の額を目がけ右手を差し出す。
榊は一瞬驚いた表情を浮かべ、俺の顔を困惑した形相で睨みつけた。
「おらぁ~~~!!」
「な、なんだ・・・」
叫ぼうが、怒鳴り声を上げようが、今の俺には一切関係ない。
榊と目が合ったまま、俺の右手は榊の額を捉えた。
「ぎゃーーーっ、ごぉはっ・・・・」
榊はあまりの衝撃に体をのけ反らせ抵抗した。
しかし俺は、榊の額から離れそうになる右手を、もう片方の左手で押さえつけ、それを阻止した。
まばゆい紫の光が書庫の中に放たれ、輝きを発した。
その度に榊の口からは、悲鳴とも取れるうめき声が聞こえた。
俺の右手は熱を帯び、既に感覚を失っている状態だ。
今日はこれで何人目だ?
こいつを入れて10人か?
俺には僅かの体力も残されてはいなかったが、こいつだけは許せない。
リマに手を出したこいつだけは。
その思いが、今の俺を突き動かしていた。
「・・・シリュウ?」
リマの声にはっと現実に引き戻される。
目の前ではリマが大きく目を見開き、俺を見つめている。
リマのその目は、いつも俺を見ている目とは明らかに違っている。
まるで何か異質なものでも見るかのような、疑心に満ちた目。
リマと最初に出会ったあの日に、俺を見ていた目だった。