「やめろ!!」


そう怒鳴り声をあげ、シリュウが榊に掴みかかろうとした。


と同時にいつの間にか声が戻っていた私は、「来ちゃダメ!!」と、シリュウに向かって叫び声を上げていた。


叫び声に、シリュウの足がピタリと止まる。


私の声を聞いた榊は、「ふーーーん、不幸が大きい割に、結構回復すんの早いんだね~、リマちゃん」と、押し殺したような声を出しながら、話私を見て笑った。


榊は相変わらず私の髪を撫でながら、不満そうに意味不明な言葉を並べた。


凄く気持ち悪かった。


こんな奴から一刻も早く離れたかった。


でも、まだ思うように身体に力が入らない。


「宮中君、早くこっち来なよ。ほら、リマちゃんも君のこと待ってるんだよ」


挑発的な態度でシリュウを刺激し続ける榊。


なにが嬉しいのだろう。


なにが楽しいのだろう。


間近に見える榊の顔は、ずっと不気味に笑っている。


今も私やシリュウを傷つけて、これ以上何を望むのだろう。


「だめよ、シリュウ。私はそんなのこと思ってないわ。榊にはこれ以上近づかないで。こいつの手は普通じゃない。だからお願いシリュウ。私の言うことを信じて!」


時間が経つにつれ、少しずつではあるが、呼吸が楽になっている気がする。


それに力も。


指の感覚も、足の感覚も、どう言う訳か戻りつつある。