第3章 「真実」
書庫のカギはいつも決まった場所に置かれていた。
生徒たちに悪用されないためだ。
この場所は、図書委員にしか知らされておらず、先日来たばかりの榊先生には分からないだろう。
かと言って、担任が休みだからと言って他の先生に聞くことだって出来た筈。
今になってはそう思えるが、その時の私はそんなこと、これっぽっちも思いもしなかった。
私はカギをポケットに入れると、図書館に向かった。
今日はみんな早く帰ったのか、廊下ですれ違う生徒たちをあまり見かけない。
図書室も同じ。
放課後図書館を利用する生徒は、普段でもさほど多くはなかった。
が、今日は一段と少ない気がする。
図書館の奥まで行くと、榊先生が待ちかねたように私を見た。
「こっちですよ」
先生を誘導しながら、書庫の入口へ立つ。
ポケットからカギを取り出すと、私はそれをカギ穴に差し込みゆっくりと回した。
「カチャ」
鍵が開く音を確認して、ドアノブを勢いよく回した。
ドアの向こうは薄暗く、湿っぽい空気がよどんでいる。
私は慌てて電気をつけ、「どうぞ」と言って榊先生を中へと招き入れた。
すると榊先生はゆっくりとその中を見回した後、私の後に続いて入って来た。
書庫の中には、ほとんど読まれることのない書籍や、古くて貴重な資料などしか置いいないため、滅多に人の出入りは皆無に等しかった。
地下造られているため、窓一つなく、空気を入れ替えることもなかった。
そのため、本の独特の匂いが充満していた。