榊先生とこうして並んで歩いているだけで、すれ違う女子たちが振り向く。
羨ましそうに羨望の眼差しを向ける生徒もいる。
榊先生の人気はこれほどまでだったのかと、その凄さをまざまざと見せつけられた。
「悪いな、相原さん」
「いえ、で、何でしょうか?」
私は先生に、呼ばれた用件を尋ねた。
「図書室に書庫があるだろ。そこに借りたい本があるんだが、鍵を貸してもらいたい」
「なるほど。そんなことなら、お安いご用です」
私は先生の申し出を、いともあっさり引き受けた。
しかしこの一言が、後でとんでもないことに巻き込まれるとは、この時の私は知る由もなかった。
そう、これが全てが明らかになるほんの序章にしか過ぎなかったということを。