シリュウは人気モデルである以上に、この学校の人気者でもあった。
そんな私が彼の彼女になれたことは、奇跡に近いことなのかもしれない。
あの事件がなかったら・・・・。
きっと私たちはこうして運命を共にすることもなかっただろう。
そのことに、本人である私が一番驚いているけど。
不思議なことに、学校では私たちが付き合っていることに異議を唱える生徒は一人もいなかった。
むしろその逆。
みんなが私たちを祝福し、応援してくれていると言っても過言ではないかも。
一年前に転校してきた私を、歓迎し受け入れてくれたことには感謝するけど、なんだか違和感を感じる。
シリュウのこと好きだった人もいたでしょ?
おまけに人気モデルだよ。
私なんかが彼女で本当にいいの?
嫉妬とか、そういうの全く感じられないんだけど・・・・。
別に私自身みんなに嫌われたい訳じゃないんだけど、そのへんがどうも納得できないというか。
「ほらリマどうした?行くぞ!!」
シリュウに声を掛けられハッと我に返る。
「へへっ、ごめん」
慌ててシリュウの元へ駆け寄る。
私の妄想はまだ尽きないけど、シリュウがいるからいいよね。
そっとシリュウの顔を見つめると、シリュウがにっこり微笑み返してくれた。
「んっ?」
「ううん、なんでもない!」
不思議そうに覗き込むシリュウに、心の中を見透かされそうで慌てて首を横に振った。
「早く、早く!!」
少し先を行くみんなが、後ろを振り返り手を振るのが見える。
「行こう、リマ!」
シリュウが私の手を取り走り出す。
「うん」
その手の温もりをそっと握り返し、私も笑顔で走り出した。