「君が拾った携帯は今どこ?」
「あいつらに投げつけました」
「そう・・・。じゃあ、君の命も危ないね」
「えっ?」
なんでそういう事になっちゃうの?わけわかんないよ。
私が目を白黒させているのを見た少年が、一瞬、ふっと笑ったような気がした。
そしてまたゆっくりとした口調で説明し始めた。
「君が携帯を持ったことで、携帯に君の指紋がついただろ。それを採取して、君の名前、住所、すべての情報が奴らに知られちゃうんだ」
「うそ?」
そんなの実際にありえることなの?
この今の世の中で?
一体どんな組織よ。
「君、名前は?」
今までゆっくりだった彼の口調が、急に早口に変わった。
「鈴木莉麻(リマ)です」
私が答えると同時に女性がパソコンをいきなり開き、カチャカチャと入力し始めた。
キーを叩く音だけが部屋に響き渡る。
「完了しました」
ここで初めて女の声を聞いたと思う。
少しかん高い声の持ち主は、眼鏡をかけた髪の長いスレンダーな美人。
女の眼鏡が、頭脳明晰で仕事の出来る女だということを一層引き立てているように思えた。