私は訳が分からず、気付けば手に持っていた携帯電話を、彼らに向け投げつけていた。


これを返してくれと言ってるのかもしれない。


だったらほらっ、返すわよ。


別に携帯電話を取ろうとか思ってい訳じゃゃないんだからね。


すると、私が放り投げた携帯電話を、彼らの一人が見事にキャッチした。


ふう~、これでもう追って来ない筈よね?


少しホッとした気持ちと同時に、私は走る速度を上げた。


バイト時間に完全に遅刻が決定してしまった。


かと言って、このままさらに遅れることは許されない。


しかし私の思惑は、見事にはずれてしまった。


黒服の男たちは、追いかけてこなくなるどころか、ますます速度を上げ、私との距離を縮めてきたのだ。


追われれば逃げる、とは自然の法則で、もちろん私も懸命に逃げた。


男たちに捕まれば、私の命は失われることになるだろう。


そう考えた私は、公園の入り口に迷わず飛び込んだ。


この公園はけっこうな広さのある公園で、大きな池でボート遊びができたり、ジョギングを楽しむことのできる遊歩道もあり、多くの人々が利用していた。


私はいつもこの公園の中を通ってバイト先へ行ってる。


ここを横切ることで、大幅に時間の短縮ができたからだ。


毎日のように通っている私にとって、この公園は隅々まで知りつくしていると言っても過言ではない。


この公園に逃げ込めば、なんとか逃げ切れるかもしれない。


僅かな希望を胸に、私は公園の中をひたすら走り続けた。