私は携帯を制服のポケットに入れると、バイト先へと急いだ。


とにかく、猛ダッシュしかない。


遅刻するとその分バイト代引かれちゃうし。


そんなの絶対困る。


今月はけっこうピンチなんだから。


私はみんなみたいに遊ぶためのお金を稼いでいる訳じゃない。


生きて行くために、必死なのだ。



暫く走っていると、ポケットの中が急に振動を始めた。


えっ、着信?


走りながらポケットに手を突っ込み、携帯を取り出す。


見ると、私の手にはブルブルと震える携帯が。


これって・・・・?もしかして、落とした持ち主からかも?


そう考えた私は、足を止めることなく携帯に出た。



「もしもし?」


「・・・・」


えっ、無言??


向こうも私が出たことで戸惑っているのかな?


「もしもーし」


もう一度声をかけてみる。


すると雑音で聞き取りにくかったが、「■□■□■□■□■□!!」と訳のわからない言葉が返ってきた。


「■□■□■□■□■□」


今度はよく聞こえたが、私には到底理解できそうにないどこかの国の言葉のようだ。


これってなに語なの?


早口でまくしたてる相手は、聞いたこともない言葉をしゃべってくる。


暫くして話が通じないことを相手が悟ったのか、電話はそのまま切れてしまった。


でもどうしたらいいんだろう?


やっぱり交番に届けるしかないよね、そう思いながら携帯電話をまたポケットにしまい込んだ。


すると、私のすぐ横に、黒塗りの車が一台、猛スピードで近づいてきた。


危うくひかれそうになり、慌てて足を止めようとしたが、勢いがおさまらずそのまま車に突進しそうになった。


しかし奇跡的に車は、私のぎりぎりのところで急停止した。