とても今からパスタをゆでる気持ちになどな
れなかった。ソファーに座ると、先ほど見た
光景が嫌でも思い出される。私は、潤君に裏
切られたような気持ちでいっぱいだった。
彼がここへ来た目的はもっと別のところにあ
って、なにか恐ろしいことに巻き込まれてい
るのかもしれないとか、勝手な憶測がどんど
ん彼を悪い方へと押しのけていく。
彼の照れた顔や、嬉しそうに笑う顔も、なん
だか今では色あせて見える。公平君の息子と
いうだけで、信じてしまった私が悪いんだ。
でも、心のどこかではそれを否定する自分も
いた。潤君が、理由もなくそんなことする様
にはどうしても思いたくない。
そう思いながら真相を確かめるべく、私は彼
の帰りをひたすら待った。