私の目の前で繰り広げられた光景は、普通と
は程遠いほど、現実離れしているように感じ
られた。高校生の男の子の行動としては、あ
まりにもふさわしくない、そんな思いが頭を
よぎった。信号はまだ変わらない。どんどん
二人は遠ざかって夜の街に消えていく。二人
がどこへ行くのか、私にはわからない。でも
・・・。すっかり見失ってしまった私は、暗
い気持ちのまま自宅へ戻った。潤君の今まで
とは違う顔を見てしまった。一週間前も、彼
は帰りが遅くなると言って出掛けた。そして
今日も・・・。潤君はあの日もこうして大人
の女性と会っていたのだろうか。そして今日
も明け方まで帰ることはないのだろうか。
彼は私に内緒で一体何をしているのだろう。
何を隠しているのだろう。さっきまで、潤君
のことを守ろうと決めたばかりの私の心に、
大きな影ができていた。
私は結局彼のことを何一つ理解していないの
かもしれない。そのことを今更ながら恐ろし
く感じ始めていた。