「今日はもう遅いし、家どこ?」
そう言うと、彼は歩き出した。夜道は危な
いし、送ってくれるつもりなのかしらと、
それほど考えもせず、軽い気持ちで家まで
の道順を教えた。
私の家は、叔母から譲りうけた一軒やだっ
た。以前は、叔母夫婦が住んでいたのだが
叔父が亡くなったため、田舎に戻ることに
なり、ここを私に使ってほしいと言われ、
お言葉に甘えて使わせていただいているの
だった。
「ここよ。どうもありがとう」
「へー、すげーな。一軒家かよ。でもちょ
うどいいかもな」
彼はなにやらブツブツと独り言を言ってい
る。私はそんな彼を無視して「それじゃあ」
と言って中へ入ろうとした。
「ちょ、ちょっとそれはないんじゃない。こ
こは中へ入ってお茶でもどうぞ。とか言うん
じゃなかったけ」
彼は高校生だけど、そういうこと、ちゃんと
知ってるんだね。今どきの子は進んでるのね
私ももう少し公平君について聞きたかったの
で、遅い時間ではあったが、彼を家の中へ入
れることにした。
