「翔子おねえさんが相手じゃ誰もたちうちできませんよね。
だって、藤沢君、保育園の時からずっと好きだったんだも
ん。それに・・・」
私は彼女の話にくぎ付けになった。保育園の時って、それ
ってあの頃の話じゃない?ということは、つまり・・・、
もしかして・・・?
「それに藤沢君一生おねえさんのこと守るって約束まで
したんでしょ?おねえさんは忘れてるかもって言ってたけ
ど・・・」
そう言いかけて、彼女は驚き、言葉を止めた。それは、私
が急に涙を流し始めたからだろう。直人君は忘れていなか
ったのだ。遠いあの日、かわした約束を。ずっと今日まで
覚えてくれていたのだ。そう思うと、自然と涙が出て止ま
らなかった。今まで抑え込んでいた熱い思いが込み上げて
きた。
今まで決して聞くことのできなかった約束のこと。それを
彼女の口から聞くことになるとは。うれしさの反面、なん
だか釈然としない気持ちもあった。この前、あの公園に行
った時でさえ、私にはそんなこと一言も言わなかったのに
誘いを断るためとはいえ、彼女には話していたんだ。
しかし、彼が覚えていることは事実だ。今日が私にとって
も最高の一日になったことはいうまでもない。
「おねえさん、本当に藤沢君のこと好きなんだね」
私は彼女にそう言われ、赤くなった。
「ごめんね」
「もういいよ。あきらめるよ。私、おねえさんのことも
嫌いじゃないよ。だからがんばって!!]
「ありがとう。優花さんも」
にっこりほほ笑むと彼女は手を振り、走って行った。
彼女も泣いていたように見えた。そうだね、彼女も
本当に彼のこと好きだったんだもの。彼女の姿を
見送りながら、早く素敵な人が現れることを祈って
いた。