次の日、携帯の音で目が覚めた。見ると直人君


からだった。


 今日これから出られない?


 一緒に行きたいところがあるんだ


 今から一時間後 いつもの場所で待ってる


私はすぐにオッケーと返信してベッドから飛


び起きた。


「お母さんおはよう。今日ちょっと出かけて


くるね」


「どこ行くの?」


「うん、直人君に誘われたんだ」


「そう、気を付けてね」


昔と変わらない会話。母が用意してくれた朝


食を食べると、私は急いで待ち合わせの場所


に向かった。待ち合わせの場所は昔と変わら


ず、あの公園だった。


「お待たせ」


私が公園に着くと、直人君はブランコに座り


空を眺めていた。


「翔子さんおはよう。」


私が近づくと、直人君はゆっくりとブラン


コから立ち上がった。


そして、私の方へ歩いてきた。


「今日は久しぶりに翔子さんと離れ離れだっ


たから、なんだか落ち着かなくてさ。早く


翔子さんに会いたくなって・・・。ごめん


こんな朝早くから」


私は直人君がそんな風に思ってくれていたこ


とが、とてもうれしかった。そう言う私も、


本当は早く直人君に会いたかったのだから。


それにしても、この公園は昔とまったく変わ


っていないな。ここにいると、あの日の光景


が目の前に蘇ってくるようだ。


直人君が座っていたブランコ。これはあの日


私が直人君からプロポーズを受けたブランコ


彼はそんな昔のことすっかり忘れているよう


だが、私の記憶は今でも鮮明だ。そして今、


ここにこうして二人立っているのだ。私は一


人感慨にふけりながら、ブランコを眺めてい


た。


「なつかしい・・」


ふとつぶやいた私の言葉に、彼が反応した。


「うん、そうだな」


それっきり、会話もなく二人は歩き出した。


黙ったままでも、心には温かい気持ちが伝


わってくる気がした。公園を出て、私たち


がたどり着いたところは、墓地だった。






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