「おう、こっちだ。こっち」
私たちは料亭のお座敷にいた。ここは、送別会
&忘年会の会場だ。席がくじで決まっていたの
で、自分の場所を探して座らなければならなか
った。出席者はわが部署全員と、このプロジェ
クトに参加した社員達の20名ほどだった。
全員が席に着き、部長の挨拶が終わった。和や
かな雰囲気の中、乾杯が行われた。日頃の頑張
りをお互いにねぎらい、讃えあいながらお酒が
どんどん運ばれていく。料理もとてもおいしく
私たちは満足していた。
「今日はじゃんじゃん飲みましょね」
矢野課長はみんなから次々とお酒を注がれ、もう
すでにほろ酔いかげんのご様子。主役のジュニア
も顔が赤く、酔っているみたいだった。私はジュ
ニアがお酒に強くないことを知っているので、少
し心配していた。しかし、主役である以上、今日
は飲まないわけにはいかないし、と思いながら遠
くからそっと様子を見ていた。
「朝倉先輩、どうしたんです?あんまり飲んでない
みたいですけど・・・」
ここにももう一人心配の種が。
「矢野課長こそ、大丈夫です?結構飲んでるんじゃ
ないですか。この前みたいなことはなしですよ」
「大丈夫ですよ。ほら、見てくださいよ、ジュニア
を。あんなに弾けちゃって!!」
見ると、ジュニアが豪快に笑いながら、部長と飲ん
でいる。まあ、次期社長だもの、無礼講でいいんじ
ゃないの。それより私はあなたのほうが心配ですけ
ど・・・。そう思いながら、矢野課長を見た。
料理もたくさんいただき、酔いも少し回り始めるこ
ろには、すでに2時間もの時が過ぎていた。
「おーい、これから2次会に繰り出すぞー!」
その声に多くの社員が賛同した。
「行きましょう朝倉先輩」
矢野課長がふらふらした足取りで、私を誘ってくる。
なんでこの人はいつもこんなになるまで飲むんだ。
そう思いながら彼女の手を取り店を出た。
「朝倉先輩、僕も一緒に・・・」
ジュニアが後ろからやって来た。私一人で酔っ払い
二人相手に、どうしろって言うの。そう心の中で叫
びながら、二人をタクシーに乗せた。
「いやー、楽しいですね。今日は本当に楽しいなー」
「最高!最高!」
上機嫌の二人を横目で見ながら、私もお酒の力を借
りてここまで変わってみたいと思うのだった。