正式に部長の口からジュニアの本社へ戻る話


が告げられたため、噂ではなくなった。当然


ジュニアを狙う女子社員は最後の猛攻撃に打


ってでるのだった。


「矢野課長のおかげで、沈静化していた彼女


たちもこれ以上は黙っていられないんでしょ


うね」


食堂で、女子社員に取り囲まれているジュニ


アを見ながら私は言った。


「本当ですよ。よく懲りないわよ、あの人た


ち。そのパワーをもっと仕事に活かせば、も


っと会社も大きくなれるってものよ」


「まあ、それももうすぐ見納めですけど」


「そうですね。今度の送別会&忘年会では思


いっきりジュニアにつくしましょう」


矢野課長はそう言うと、私の方を怪しいまな


ざしで見つめた。


「それはそうと。その後どうなりました?直


人君とは・・・」


彼女には告白した話は報告済みだった。まあ


彼女の助言がなければ、私も彼に確かめるこ


とはできなかったわけだし、彼女にはたいへ


ん感謝していた。しかし、彼女は私たちが進


展しないことを、私よりも不満に思っている


らしい。


「別に普段と変わりなしです」


ふーっと思わずため息が漏れた。そんな私の


様子を察するように、彼女は言った。


「なんなんでしょうね。今の若い子ならすぐ


にでも押し倒してきてもよさそうなものなの


に・・・。同棲してんだし、チャンスはいく


らでもあるでしょうに、ねえ、先輩」


「なにを言い出すのかと思えば・・・、同棲


なんて言わないでよ。それに直人君はそんな


人ではないです」


確かに、矢野課長の言うことは私も日頃感じ


ていて、そのことを気にしていないわけでは


ない。しかし、それを他人に言われると、と


ても恥ずかしく思えた。


そんな私を見て、矢野課長はクスクス笑った


「先輩は真面目すぎます。まあ、直人君も同


じタイプみたいだからいいですけど。でも、


そんなこと言って本当は不安なんじゃないで


すか?だったら、こっちからなにか仕掛けて


みたらどうです?」


私を見る目が怪しい光を放ったように見え、


私はドキっとした。仕掛ける?一体何を?


頭が少し混乱してきた。彼女にそう言われて


もなにも思いつくこともなく、私はひたすら


コーヒーを飲んでいた。




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