「昨日はどうでした?あれからなにか進展は
ありました?」
矢野課長は唐突に聞いてきた。
「別に。だいたいそんなこと聞けるわけない
でしょ」
「あら、もったいない」
矢野課長は時間がなかったのか、それだけ言
うと会議室に向かった。私はやれやれという
気持ちで仕事に取り掛かった。パソコンを前
に私は考えていた。矢野課長が言うように、
直人君に気持ちを確かめることができたら、
どんなにいいだろう。この長年のモヤモヤが
一瞬のうちに解決しスッキリするのだ。でも
それは結果がよかった場合であって、逆の場
合もありうるのだ。そう考えるとやはり怖く
て聞く気になれない。矢野課長の勘の鋭さは
以前からたびたびその正確さに驚かされてい
る。しかし、そんな彼女の言葉でも、今回ば
かりは慎重にならざるえないのである。
今朝見たあの夢は、矢野課長に言われたとい
うこともあるが、半分は私の願望であって、
直人君に言ってほしい言葉そのものなのだか
ら。そう考えると、私も相当追い込まれてい
る気がする。事実、年齢だって確実に大きく
なっているわけだし・・・。そんなことを考
えながら時間は過ぎていき、昼休みになった