「他にもありますよ。この前、先輩が出張に
行った時のことです。直人君、九時に電話す
るように言ったんですよね。
それです!たぶん彼は先輩とジュニアのこと
を心配してたんでしょうね。名古屋で二人き
りなんて、なにが起こるかわからないですも
んね。だから、それを阻止するために、電話
作戦に出たんでしょう」
うーん、それってどうなんだろう?彼女のこ
の推理・・・。彼女が言えば不思議とそうか
もって思えてくるところが恐ろしい。しかし
冷静に考えてみれば、確かに彼女の言うこと
にもうなずける。
「ああ、直人君って人はなんて純粋なんでし
ょう。先輩に一途に恋しながら、それを誰に
も言えず、思い続けているなんて・・・」
彼女の話はまだ続いていたが、私の耳にはもう
届かなかった。だって直人君が私を好きだなん
て・・・。そんなのあまりに凄過ぎて、食事ま
でのどに通らない。
直人君が私のことを好きかもって今まで考えな
かった訳ではないが、きっとそんなことないと
自分の中で否定してきたのだ。しかし、そうあ
ってほしいという願望は捨ててはいない。
もし、彼女の言う事が本当なら、直人君はあの
約束のことも覚えてくれているのだろうか?
遠い昔、あの公園で交わしたあの約束を。