「おまたせしました」
お腹をすかせていた私たちは、無言で食事を口に運んだ。
あっという間に食事をたいらげると、食後のコーヒーにたどり着いた。
この食後にコーヒーといういつものコースで、朝からのバタバタにやっと終止符が打てた気がする。
一息ついたところで、矢野課長が突然話し始めた。
「今日の会議で決まったんだけど、今度うちの部署から名古屋支店に視察に行ってもらうって話がでたんです」
「へぇー、それは新製品の件でですか?」
「そうです。で、午後からまたその打ち合わせが、役員だけであるんですよ」
「いろいろ大変ですね」
彼女は課長という役職のため、それなりに責任も大きい。
バリバリと仕事をこなす裏では犠牲にしてきたことも多かったに違いない。
しかし、そんなところを見せない彼女の性格が私は好きだった。
勘が鋭いところを除けばだげど。
私は、矢野課長こそが完璧なキャリアウーマンだと思っている。
「じゃあ、そろそろ私は行くわね。後はお二人でどうぞごゆっくり」
そう言うと矢野課長は立ち上がり、店を出た。
ええっ、私とジュニアだけ?
なんだか気まずい。