「そう言えばそんなことがあったわね。確かあの時は、直人君が急にこっちの学校に呼び出されて・・・」
「やはり直人君がらみですか」
やはりって何よ!どういう意味?
その言葉が気にはなったが、あえて聞き返すのは止めた。
彼女は勘が鋭い上に、言葉も巧みに操る。
その腕前は尋常ではない。
それにしても、あの合コンの事がどうだと言うのだろう?
さっぱり訳が分かんない!?
かと言って、もうこれ以上詮索されるのも嫌だし。
もし仮に、「約束」の事を話さなければならなくなっては非常に困る。
あの約束は私だけの大切なもの。
自分だけの心の中に留めておきたかった。
誰かに話してしまうと、本当に夢物語になってしまいそうで怖かった。
そんな私をよそに、矢野課長はなにやら考え込んでいる様子だった。
私はそれ以上何も語らず、黙ってそんな彼女を見ていた。
「ふぅーー」
矢野課長にあれこれ話したせいか、幾分疲れも出てきた。
時計を見ると昼休みもあと僅か。
他の社員もそれそれの部署に戻り始めている。
私たちも部署に戻り、午後からの仕事に取り掛かる。
しかし結果は今一やる気が起こらずと言った感じ。
食堂で力を使い果たしたようだ。
それでもなんとか終業時間まできっちり仕事をやり終えると、私は素早く帰宅した。