昼休みの時間になった。
仕事を片付け食堂に向かおうとしていると、私たちの部署に隣の女子社員が数名押しかけてきた。
「あのう、すみません。突然なんですが、今日ご予定とかあります?」
「私は別にないけど」
「私も同じ」
「わあー、よかった!今日合コンしようって決めてたんですけど、急に二人、都合が悪くなってー。それでお二人にどうかなぁーと思いまして・・・」
にこやかに笑いかける女子社員の顔。
なにやら怪しい雰囲気が読み取れるんですけど。
「でも、私たちでいいの?」
矢野課長は構わず聞いた。
なんだか彼女は乗る気の様子。
「はい。もちろんです。ぜんぜんオッケーです。お二人じゃなきゃダメなんです」
「わかったわ。じゃあ行くわ。ねっ、朝倉先輩?」
「う、うん・・・・」
つられて返事をする私。
矢野課長の意図が掴めない。
「ありがとうございます」
手短に要件を説明すると、彼女たちは一目散に消えて行った。
というわけで、私たちは急きょ合コンに行くことになったのだが・・・・。
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食堂に行くと、すでに他の社員たちでいっぱいだった。
今日はお昼を約束していたのだろう、女子社員の中にジュニアの姿が見える。
彼女たちの視線は、すべてジュニア一人に注がれていた。
そこの空間だけが、異様に盛り上がりを見せていた。
その様子を、他の男性社員が羨ましそうに眺めている。
その格差が悲しくもあり、と言ったところだろうか。
「ねえ、さっきの話だけど」
「合コン?」
「そう。あれってなんか怪しいですよね」
彼女が言うのだから間違いない。
私も大きく頷いた。
「急にキャンセル、はいいとしても、その後任に私たちを誘うのっておかしくないですか?」
私もそこに引っ掛かっていた。
「ほら、あそこ見てくださいよ。さっきの女子社員がジュニアと座ってるでしょ」
彼女が見ている先には、先ほど来ていた数名の女子社員の顔があった。
私が再び大きく頷くと、彼女は続けた。
「つまり、こういうことなんじゃないのかと。ジュニアが私たちの部署にいることが面白くない人もいるんですよ。同じ部署っていうだけで、なにかと接点持てちゃいますしね。まあ、実際はそうでもないですけど。そこで、私たち二人を、誰でもいいからくっつけちゃえ!とでも考えたんじゃぁないですかね。それなら、ジュニアを取られる心配なくなりますし。なんとも浅はかな考えですけどね」
彼女はここでも鋭さを発揮させた。
これならつじつまは合う。
まったく無駄のない推理力に、私はただ感心せざるを得ない。
こんな素晴らしい彼女と親しくさせてもらって、本当に良かったと心から思った。
「だったら行くのやめる?」
「それとこれとは話が別です。行くに決まってるじゃないですか」
なるほど、彼女はどうやら現在付き合っている人がいないらしい。
私の推理力なんてこの程度。
なんの役にも立たない。
「朝倉先輩はどうされます?」
「私も行くけど・・・・」
そうは言ったものの戸惑いもあった。
もちろん直人君のことが引っかかっていた。
しかし今朝のことを思うと、いつまでもはっきりしない約束にしがみついているのもどうかと思うし。
かと言って、今更直人君に聞く勇気も流石にないし。
とりあえずここは前進するしかなさそうだ。
などと勝手に妄想を膨らませていく。
この合コンはチャンスなんだと、そう自分に言い聞かせる。
嬉しいような悲しいような、そんな感情が心の中に生まれ始めていた。
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