「でもね、どういう心境の変化か知りませんけど、喧嘩してるらしいんです。顔とかにキズがあったりして、服もよごれて帰ってきて・・・。そんな亮介を見ていたら、やっと目覚めてくれたんだって、うれしくなっちゃいまして。夫と
も話すんですけど、やはり男の子は、女の子を守れる強さを持ってないと一人前にはなれないと思うんです。強い心も必要でしょうし・・・」
「ああ、それなら大丈夫ですよ。ちゃんと女の子を守れる力を持ってると思います。それに肉体的な力だけでなく、精神的な力も。だから安心して大丈夫ですよ。先生たちや生徒たちからもすごく信頼されてますし、私自身
本当にそう思ってますから」
私はいつになく熱心に語っていた。
しまった・・・、少々言い過ぎただろうか?
そう思ったが、彼のお母さんはうれしそうに私を見つめていた。
「そうですか。林先生からはあんまりそういう話をお聞きできなかったので、とてもうれしく思いですわ。あの子のこと、そこまでよく理解してくださっていて、わたくし安心しました」
私は彼のお母さんにほめられて、少し恥ずかしかった。
すると突然、お母さんの携帯電話がなった。
彼女は慌ててかばんの中から携帯を取り出した。
「すみません。マナーモードにしてなくて。ちょっと失礼します」
そう言うと、彼女は電話にでた。
「ごめんなさい、今学校なの。また掛け直します」
手短に言うと、すばやく電話をきり、そのまま携帯を机の上に置いた。
私は何気なく置かれた携帯を見た瞬間、私は思わず驚きの声を上げてしまっていた。
「あっ!!!!」
私の様子に驚いたお母さんが、その原因である携帯を手に持った。
そして、携帯についているストラップを私に見せながら言った。
「これ、もしかして先生ご存知?」
「ええ・・・まあ・・・」
そう聞かれて、正直に答える私。
今更隠すことなんてできない状況だし。
「まあ、そうなの!こんなこと初めてですわ。この神社ってそんなに有名でもないから、まさか知ってる人に会えるなんて思ってもみなかったわ。それも、亮介の先生だなんて・・・。ふふっ、これって実は・・・」
そう言って彼女は、ストラップの話を始めた。
「私が今からずーっと昔、高校生だったころたまたま雑誌でこの神社のこと見つけて。当時、付き合ってた彼と一緒に行ったんです。なんでも、この神社へカップルで行くと、二人は必ず結ばれるって書いてあったんですもの。早速一緒に行こうって!なんと、その時一緒に行った彼が、このこの父親、私の夫ですのよ」
そうだったんだ。
彼はご両親からこの話を聞いて、私と一緒に行こうって思ってくれたんだ。
一緒に行く相手に私を選んでくれた、そう思うと感無量だった。
その上、お母さんからこの神社に行った話しを聞いて、今まで半信半疑だった思いが確信に変わった。
急に胸が熱くなってきた。
なんだかとても幸せな気持ちに包まれていく気がした。