とうとう誕生日まで残り一日。
教室の女子生徒たちは、明日のことでそわそわしていた。
中には、明日を待ちきれないのか、すでにプレゼントを持ってきている生徒もいるようだ。
私はもう焦る気持ちなどとっくに捨てていた。
と言うよりも、そうする他に方法などどこにもない状態だった。
明日は田村くんに、正直にプレゼントを用意できなかったことを謝ろう。
それで許してくれるかどうかはわからないけど、とにかく謝ろう。
「おはようございます」
教室に入ると、田村くんはわざと私に見えるように口を手で押さえていた。
私はその様子をおかしくて吹き出しそうになったが、必死に笑いを堪えていた。
でも、ちゃんと遅刻しないで来たんだと、ほっとしていた。
しかし、明日のことを思うと気が重い。
ああ、なんて謝ればいいの・・・・?
昼休みに屋上に行くと、田村くんが待っていた。
「はい、お弁当」
「サンキュー」
お弁当を食べている間も、気が重く、食事を味わう気分ではなかった。
そんな私とは対照的に、彼はあっという間に食べ終えると「ごちそう様。今日はこれから行くところがあるから先行くね」と言って、早々に屋上を去って行った。
青空の下、私は一人ぼっちで寂しくお弁当を食べ続けた。
一人になると、また明日のことが気になり始めた。
田村くんが「楽しみにしている」と言っていたのを思い出す。
「はぁぁぁ・・・」
出るのはため息ばかり。
放課後、私は職員室にいた。
今日は職員会議があるので、教師全員がここに残っている。
「えー、では早速始めましょうか」
時間となり、校長先生が話し始めた。
しかし、私の頭の中は、明日のことでいっぱいだった。
そのため、会議に集中できずにいた。
ずっと頭の中は別の世界にいた。
そうこうしていうちに、ふと気づくと職員室がざわつき出した。
えっ、なに?
訳が分からずまわりをキョロキョロする私の耳に、「ではそういうことです。明日はよろしくお願いします」と、教頭先生の声が届く。
すると、その声を合図に、先生たちがみな帰り仕度を始めた。
あっ、職員会議終わったんだ!心の中で歓声を上げていた。
「いよいよ明日ね」
「でも、今年は大変なことになりそうね」
向こうでは、赤坂先生と大多喜先生がなにやら話してる。
でも今日は二人の話には参加せず、軽く挨拶すると、私は急いで学校を出た。
もう後は当たって砕けろだ!
一目散に自宅マンションへと向かった。