夏も終わり、季節は秋の訪れを感じ始めていた。
空にはいわし雲。
山々はだんだん色づき始め、街路樹は葉を落とし、時折冷たい風が吹くようになった。
そんな中、一年の最大のメインイベントがもうすぐやってこようとしていた。
そう、なにを隠そう田村亮介君の誕生日!!
一部の女子生徒たちは、二学期に入るとすぐ、その話題で盛り上がっていた。
私はそのことで、大いに頭を悩ませていた。
田村くんにプレゼントをあげるのはもちろんのこと。
でも、彼が何をほしいのかは全くわからなかった。
一体どんなプレゼントをあげれば、一番喜んでもらえるだろうか。
やはり彼女としては、他のプレゼントよりも一番いいものをあげたい、そう思うのが正しいと思う。
けれど、そう思えば思うほど、なかなかプレゼントが決まらない。
日に日に迫ってくる誕生日に怯えながら、何もできずに時間だけが過ぎていく。
「今年はどうなるかしらね?」
「本当ね。もうすぐだものね」
大多喜先生と赤坂先生が職員室で話している。
「なんのお話ですか?」
私はコピーをとりながら、二人の話に割って入った。
「そうだったわね、中野先生は知らないのよね。あのね、もうすぐ田村君の誕生日なの」
ふふ、それならもう知ってますよ!なんてことは口が裂けたって言いませんけど。
「そうなの。でも、あの田村君でしょ、もうすごいのなんのって。去年はプレゼントの山ができるほどだったわ。モテる男は辛いわよね・・・」
そう言えば、田村くんの誕生日のことは、この職員室でも話題になっていた。
去年はそんなにすごかったのかぁ~。
だったら尚更女子生徒たちに負けられない。
大きなプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、私は日々考えあぐねていた。