彼らとの待ち合わせは、学校から少し離れた喫茶店だった。
ドアを開け店の中に入ると、まだ彼らの姿はそこにはなかった。
「中野先生、島原さん来てくれますよね?」
彼女が心配そうに瞳を揺らしながら、私を見つめる。
「ええ、大丈夫よ。絶対に来るわ」
田村くんに島原君のことを頼んだ時、「あいつがもし嫌がったりしても、絶対に引っ張ってでも連れて行くから。あいつ結構いい奴だろ。だから幸せになってほしいんだよな」と、力強く言っていた。
それはきっと、花火大会のことを自分のせいだと思っているからで。
今度はそのお詫びのつもりだと考えているのかもしれない。
そんな田村くんを、私も少しでも手助けしたかった。
それに、島原君には今度こそ幸せになってほしかったし。
もちろん島原君たちがうまくいけば、田村くんの悩みも、自然と解消される、そんな思いもあった。
いろいろな思いが、それぞれにあった。
頼むよ、島原君。
君に全てがかかっているのよ!
「いらっしゃいませ」
私たちがテーブルに着くと、ほどなくして店のドアが開いた。
入って来たのは、田村くんと島原君。
金子さんは、島原君の姿を見ると、恥ずかしそうに下を向いた。
少し震えている?
そんな金子さんを、彼女らしいな、と隣で思った。
「遅くなってごめん。こいつが恥ずかしいとかいろいろうるせーからさぁー。おい、自己紹介ぐらいしろよ」
田村君は島原君をからかって面白がっているようにも見える。
「はっ、はじめまして。島原、俺、島原大悟っす。今日はどうも、いや~、なんて言うか・・・」
それに引き替え、島原君はガチガチの大真面目。
ちゃんと日本語になってる?
「私、金子寿々香と申します。今日は突然にお呼びたてしてすみません」
「いえいえ。はははっ・・・」
島原君はまんざらでもない、といった顔で、彼女の前に座った。