花火大会当日、朝からとてもいいお天気。
今日は絶好の花火日和になりそう。
島原君たち二人の付き添いとはいえ、田村君とはじめての花火大会。
もちろん今日私は、浴衣を着て行くつもりで、実家から送ってもらっていた。
本当なら二人っきりのはずだったが、島原君たちと一緒に行くことになったので、誰かに会っても言い訳ができる分、堂々としていられて、気が楽かもなんて思ってみたり。
しかし、今度こそ生徒たちに会うのは、避けられないだろう。
先生に出会う事だって考えられる。
そう考えると、緊張は隠せない。
そんなことを考えながら時計をふと見ると、約束の時間が迫っている。
私の浴衣姿を見て、田村くんはなんて言ってくれるかしら?
なんて、一人ニヤニヤしながら約束の場所に向かった。
私が到着すると、田村くんの姿しかそこにはなかった。
田村くんは私を見つけるなり、照れくさそうに笑顔を浮かべた。
「ミサトチャン、いいじゃん浴衣!すげぇーいいよ」
そう言いながら、彼は私の周りを一周する。
その顔は、とてもうれしそう。
彼にほめられまんざらでもない私は、顔を赤らめながら小さな声で言った。
「ありがとう」
すると彼は、急に私に体を摺り寄せてきた。
ちょ、ちょっと・・・、そっ、それはまずいでしょう・・・・・。
私が瞬時に離れると同時に、島原君の声が遠くから聞こえた。
「わりぃー、遅くなった」
時間に遅れたのを気にして、慌てて走って向かってくるのが見える。
すると、「ちぇっ、遅れるんなら、もっと遅れて来いよ。タイミング悪すぎじゃん」と、田村くんが悔しそうにつぶやいた。
私としては、島原君が来てくれたおかげで、なにも起こらずホッとしたんだけど。
こんなところを二人に見られたら、今日は花火どころではなくなってしまうもの。
そんな田村くんの大胆さに驚愕しながら、自分も以前同じようなことをしたと思い出し、今さらながら、自分の身勝手さを深く反省した。
「あれ、多佳子ちゃんは?」
「まだよ。きっと今日の仕度に手間取ってるのよ」
島原君は不安そうにうつむいた。
彼女が来なければ今日の計画は成り立たない。
島原君はキョロキョロあたりを見渡し、彼女の姿を探した。
「ごめんなさーい」
しばらくして、多佳子ちゃんが手を振りながら走ってくるのが見えた。
途端に、島原君の顔がパーッと赤くなり、テンションが一気に上昇した。
「おおー、すんげぇーかわいい」
もう鼻の下伸びてますけど・・・。
島原君はうれしそうに彼女を熱く見つめていた。
「ごめんなさい。遅れちゃって。なんか浴衣着るのに時間かかっちゃって」
「いいよ、いいよ、気にすんなって。じゃあ行きますか」
みんな揃ったところで、私たちは花火大会に向け出発した。